「了解です」――上司からの指示に、つい返してしまう言葉ですよね。

先輩や同僚には普通に使っているし、特に問題ないと思っていませんか?でも、ちょっと待ってください。その返事、相手によっては失礼に当たる可能性があるんです。

実は、ビジネスシーンでは「了解です」を目上の人に使うのは避けた方がいいと言われることが増えています。新入社員の方はもちろん、「今まで普通に使っていた…」という方も、この機会に正しい使い方をマスターしておきましょう。

この記事では、なぜ失礼とされるのか、どう言い換えればいいのか、相手や場面別の使い分け方法、さらには言語学者の見解まで詳しく解説します。

「了解です」は目上の人に失礼とされる理由

「了解」に含まれる「承認する」ニュアンス

「了解」を辞書で引くと、「事情を理解して承認すること」と書かれています。

つまり、「分かった、認めてあげよう」という意味合いがあるわけです。「認める」「承認する」という行為は、通常、立場が上の人が下の人に対して行うものですよね。

だから、部下が上司に「了解です」と返すと、「私があなたの指示を承認しました」というニュアンスになり、立場が逆転したような印象を与えかねないんです。

例えば、部長の指示に新入社員が「了解しました」と答えると、新入社員が部長の指示を「承認した」形に。上下関係を意識すると違和感がありますよね。

丁寧語と謙譲語の違い

「了解しました」は敬語として間違っていません。ただし、「しました」は丁寧語で、相手を高める尊敬語や自分を低める謙譲語とは違うんです。

ビジネスシーンで目上の人と話すときは、丁寧語だけでは敬意が足りないと感じられることがあります。

  • 「了解しました」→ 丁寧語(丁寧にしただけ)
  • 「承知いたしました」→ 謙譲語(自分を低めて相手を立てる)

この差が、適切さの違いを生んでいるわけですね。

いつから「失礼」と言われるようになった?

実は、「了解です」が失礼という認識は比較的最近のものなんです。

中部大学の深谷圭助教授によると、2007年から2011年頃に広まったとされています。2008年のiPhone 3G発売でスマホが普及し、ビジネスメールを目にする時間が増えたことが背景にあるんですね。

インターネット上のマナーサイトが急増し、「了解です失礼説」が一気に広まったわけです。つまり、スマホ時代に生まれた新しいマナーなんです。

「了解です」の正しい言い換え表現

最も無難な「承知しました」「承知いたしました」

ビジネスシーンで最も汎用性が高いのが「承知しました」です。

「承知」は「事情を知ること、分かっていること」という意味で、「了解」と違って承認のニュアンスが薄いんです。

さらに丁寧にしたい場合は「承知いたしました」を使いましょう。「いたす」は「する」の謙譲語なので、自分を低めて相手への敬意を表現できます。

使用例: 上司:「来週の企画会議、資料の準備よろしく」 あなた:「承知いたしました。月曜日までに仕上げます」

社内の上司には「承知しました」、取引先や役員クラスには「承知いたしました」と使い分けるのがおすすめです。

より丁寧な「かしこまりました」

「承知いたしました」よりもさらに丁寧な印象を与えるのが「かしこまりました」。

相手の指示や依頼を謹んで受け取る姿勢を示します。特に接客業やサービス業でよく使われていますよね。

使い分けのコツ:

  • 初対面の取引先、重要な依頼 → 「かしこまりました」
  • 日常的な業務連絡、社内の上司 → 「承知いたしました」

接客や取引先に使える「承りました」

電話対応や接客では「承りました」もよく使われます。

「承る」は「聞く」「受ける」の謙譲語で、お客様からの注文や要望を受け付けるときに使うとプロフェッショナルな印象を与えられるんです。

ただし、主に社外の人に対して使う表現。社内の上司には「承知いたしました」の方が自然でしょう。

相手別・場面別の使い分けガイド

「了解です」を使っていいケースと避けるべきケースを、具体的に見ていきましょう。

【OK】同僚・後輩には「了解です」で問題なし

同じ立場の同僚や後輩には、「了解です」を使っても全く問題ありません。

むしろ、同僚に対して常に「承知いたしました」では他人行儀ですよね。

使用例:

  • 同期:「今日の資料、共有フォルダに入れたよ」
  • あなた:「了解!後で確認する」

チャットツールなら、さらにカジュアルに「りょ」「OK」も使われます。ただし、社外の人がCCに入っているメールでは「承知しました」が安全でしょう。

【要注意】上司には相手との距離感で判断

上司に対しては、関係性によって判断が分かれます。

堅実に行くなら「承知いたしました」が無難。でも、フランクな関係の上司なら「了解しました」でも問題ないケースがあるんです。

判断基準:

  • 堅実派・役職が高い上司 → 「承知いたしました」
  • フランクな上司・年齢が近い → 「了解しました」もOK
  • 初対面・関係が浅い → 「承知いたしました」で様子見

アンケート調査では、部下の「了解いたしました」を気にしない上司が8割。ただし、2割は気にしているんですね。リスクを避けたいなら「承知いたしました」が確実です。

【NG】取引先・社外の人には絶対に避ける

社外の人には、年齢や役職に関係なく「了解です」は避けるべきです。

NGな例:

  • 取引先:「次回の納品は20日でお願いできますか」
  • あなた:「了解です!」 ← これはNG

正しい返答例:

  • あなた:「かしこまりました。20日までに納品いたします」

社外の人には常に「承知いたしました」「かしこまりました」「承りました」のいずれかを使いましょう。

メール・チャット・対面での使い分け

コミュニケーション手段によっても適切な表現が変わるんです。

ビジネスメール: 記録に残るため、最も丁寧な表現を。社内でも「承知いたしました」が基本です。

チャットツール(Slack、Teamsなど): スピード重視なら簡潔さも重要。同僚間なら「了解」でOKですが、上司や社外の人が参加しているチャンネルでは注意しましょう。

対面での会話: トーンや表情でニュアンスが伝わります。親しい上司との日常会話なら「わかりました」でも自然ですね。

「了解いたしました」は使っても大丈夫?

「了解しました」がNGなら、「了解いたしました」ならいいのでは?と思いますよね。

謙譲語として正しいが、避けた方が無難

「了解いたしました」は、文法的には正しい敬語です。「いたす」は「する」の謙譲語なので、目上の人に使っても問題ないんです。

三省堂国語辞典にも「『了解いたしました』と言えば、じゅうぶん丁重な表現になる」と記載されています。

ただし、「了解」という言葉自体に「承認する」ニュアンスがあるため、人によっては違和感を感じることも。「承知いたしました」の方が、より確実に丁寧な印象を与えられるんですね。

実際の受け止め方

あるアンケートでは、約8割が「了解いたしました」を気にしないという結果でした。

でも、2割の人は気にしているわけです。確実に好印象を与えたいなら、「承知いたしました」の方が賢明でしょう。

本当に「了解です」は失礼なのか?専門家の見解

スマホ時代に広まった新しいマナー

中部大学の深谷圭助教授の調査によると、「了解より承知が望ましい」という認識が広まったのは2007年から2011年頃。

2008年のiPhone 3G発売でスマホが普及し、ビジネスメールを目にする時間が増えたことが背景にあるんです。インターネット上にマナーサイトが急増し、一般のビジネスパーソンも「正しいビジネスマナー」を意識するようになったわけですね。

言語学的には問題ない

三省堂国語辞典には「目上に失礼な語と言う人がいるが、以前から『了解いたしました』など、丁重表現として使われる」という注記があります。

深谷教授も「後付けで『了解が失礼で、承知が好ましい』という言説が生まれた」と指摘しています。英語では「了解」と「承知」のような使い分けはなく、日本特有の感覚なんですね。

つまり、言語学的には「了解」は問題ないけれど、現代のビジネスマナーとしては「承知」の方が好まれる――それが実態なんです。

迷ったときの判断基準とまとめ

基本の使い分けルール

相手別:

  • 同僚・後輩 → 「了解です」OK
  • 社内の上司 → 「承知しました」が無難
  • 取引先・社外 → 「承知いたしました」「かしこまりました」

迷ったら: 「承知いたしました」を使えば、ほぼ全ての場面で問題ありません。

最後に

言葉遣いは、あなたの印象を大きく左右します。

「了解です」が本当に失礼かどうかは議論があるにせよ、相手に不快感を与える可能性がある以上、より安全な表現を選ぶのが賢明でしょう。

「承知いたしました」という言葉を自然に使えるようになれば、ビジネスマナーの基礎はクリア。最初は意識的に使う必要があっても、すぐに慣れて自然に出てくるようになりますよ。

適切な言葉遣いで、信頼される社会人を目指しましょう。