「確信犯」の意味、7割が誤用|正しい使い方と日常で使える言い換え表現
「あの人、確信犯だよね」――日常会話でこんなふうに使ったことはありませんか?
実は、この使い方、間違っている可能性が高いんです。
文化庁の調査によれば、約7割もの人が「確信犯」という言葉を誤用しているという結果が出ています。「悪いと知っていてわざとやる人」という意味で使っている方が多いんですが、本来の意味はまったく違うんですよ。
この記事では、「確信犯」の正しい意味と誤用、そして日常会話やビジネスシーンで使える言い換え表現まで解説していきます。
目次
「確信犯」の正しい意味とは
本来の意味は「信念に基づく犯罪」
「確信犯」の正しい意味は、政治的・宗教的・道義的な信念に基づいて、それが正しいと確信して行われる犯罪のことなんです。
ポイントは「本人は正しいと信じている」という点。法律上は犯罪であっても、行う本人は「これは正義だ」と心から確信して行動しているわけです。
例えば、こんなケースが確信犯に該当します。
- 環境保護のために違法な抗議活動を行う活動家
- 宗教的信念に基づくテロ行為
- 政治的信条から法律に反する行動をする政治犯
歴史的に見れば、江戸時代の「ねずみ小僧」も確信犯の一種でしょう。彼は盗みを働きましたが、「貧しい人々を救う」という信念を持って行動していたからです。
ドイツ法学者ラートブルフが提唱した概念
「確信犯」はもともと、ドイツの法哲学者グスタフ・ラートブルフ(1878-1949)が提唱した法律用語なんです。
彼は「Überzeugungsverbrecher(確信的犯罪者)」という概念を提示しました。これが日本に輸入され、「確信犯」という訳語が生まれたわけですね。
つまり、本来は法律や犯罪学の専門用語だったんです。それが一般社会に広まる過程で、意味が変わってしまったというわけなんですよ。
7割が間違える「確信犯」の誤用

誤用の意味「悪いと知っていてやる」
では、多くの人が使っている誤用の意味はどういうものでしょうか?
「悪いことであるとわかっていながら、あえて行う行為や犯罪」――これが誤用の意味なんですね。本来の意味とは真逆になっているわけです。
誤用の例を見てみましょう。
❌ 「彼は遅刻の言い訳をしているけど、あれは確信犯だ」
❌ 「SNSで炎上するような投稿をするなんて確信犯だよ」
❌ 「わざと一方通行を逆走したんだから、確信犯だね」
これらはすべて間違った使い方なんです。本人が「正しい」と確信しているわけではなく、単に「悪いと知っていてやった」という意味で使われていますよね?
文化庁の調査で判明した衝撃の事実

文化庁が実施した「国語に関する世論調査」の結果を見ると、誤用の深刻さがよくわかりますよ。
| 調査年度 | 正しい意味で使用 | 誤用で使用 |
|---|---|---|
| 平成14年(2002年) | 16.4% | 57.6% |
| 平成27年(2015年) | 17.0% | 69.4% |
なんと、平成27年度の調査では69.4%もの人が誤用しているという結果が出ているんです。しかも、平成14年度と比べて誤用率が上がっているというから驚きですよね。
正しく使えている人はわずか17%。10人中7人は間違った意味で「確信犯」を使っているわけですから、むしろ正しく使っている方が少数派なんですよ。
なぜ誤用が広まったのか
「確信」という言葉から受ける印象
誤用が広まった理由の一つは、「確信」という言葉の持つニュアンスにあるんですね。
「確信」という言葉を分解してみると――
- 確=たしかに、まちがいなく
- 信=しんじる
これに「犯(=犯罪)」がつくと、多くの人は「悪いことだとわかっているのに(確かに信じているのに)やる」という意味にとらえてしまうわけです。
実は、この解釈、言葉の成り立ちから考えると自然なんですよ。だからこそ誤用が広まりやすかったといえるでしょう。
メディアの影響と言葉の変化
テレビドラマ、バラエティ番組、ネット記事など、さまざまなメディアで誤用が使われてきました。
例えば、こんな場面を見たことありませんか?
- ドラマで「あいつは確信犯だ!」というセリフ
- バラエティ番組で「わざとやってるでしょ、確信犯ですね」というコメント
- SNSで「これは確信犯」というハッシュタグ
影響力のあるメディアが誤用を広めた結果、「これが正しい使い方なんだ」と多くの人が認識してしまったわけなんですね。
言葉は時代とともに変化するものですから、いずれ誤用の方が正式に認められる可能性もあります。実際、一部の辞書では誤用の意味も俗語として掲載されているんですよ。
とはいえ、現時点では「誤用」であることに変わりありません。特にビジネスシーンや公式な場では注意が必要でしょう。
正しい使い方と例文
本来の意味での使用例
正しい「確信犯」の使い方を見ていきましょう。
✅ 「あの事件は宗教的信念に基づく確信犯によるものだと報道されている」
→ 宗教的信念を持って「正しい」と確信している犯罪
✅ 「彼らは環境保護のためなら法を犯しても構わないと考える確信犯だ」
→ 環境保護という信念のもと、正義だと信じて行動している
✅ 「政治的確信に基づいて行動した確信犯として、彼は歴史に名を残した」
→ 政治的信念を貫いた人物
このように、「信念」「正義」「確信」というキーワードがセットになっているのが本来の使い方なんです。
誤用してしまいがちな場面
日常会話で使いたくなる場面でも、実は誤用になっているケースが多いんですよ。
❌ 「彼女は約束をすっぽかした。確信犯だ」
→ これは単に「わざと」という意味で使っているので誤用
❌ 「わざと信号無視をするなんて確信犯だよ」
→ 信号無視を「正義」だと確信しているわけではない
❌ 「バレないと思ってやった確信犯だね」
→ 「バレないと思って」という時点で、確信を持った正義感はない
こういった場面では、次の章で紹介する言い換え表現を使うのがベターですよ。
「確信犯」の言い換え表現
本来の意味を表す言い換え
本来の意味で「確信犯」を使いたい場合、次のような言い換えができます。
思想犯(しそうはん)
国家体制に反する思想に基づいて行われる犯罪のこと。「確信犯」とほぼ同じ意味で使えますよ。
例:「彼は思想犯として投獄された」
政治犯(せいじはん)
政治的な動機や信念に基づいて行われる犯罪。政治的確信犯を指す言葉です。
例:「政治犯として国際社会から注目を集めている」
国事犯(こくじはん)
国家の政治秩序を侵害する犯罪。政治犯とほぼ同義です。
例:「国事犯として裁判にかけられた」
誤用の意味を正しく表現する言葉
「悪いと知っていてわざとやる」という意味で使いたい場合は、こちらの表現が適切です。
故意犯(こいはん)
犯罪であることを認識しながら、あえてその行為を行うこと。
例:「これは明らかに故意犯だ」
意図的(いとてき)
わざと、意識的に何かをするさま。
例:「彼は意図的に遅刻したようだ」
わざと
最もシンプルで自然な表現。日常会話で使いやすいです。
例:「わざとやったんでしょ?」
計画的
あらかじめ計画して行うこと。
例:「これは計画的な犯行だ」
ぶりっこ・あざとい(カジュアルな表現)
日常会話やSNSでは、こういった言葉の方が自然でしょう。
例:「あの発言、あざといよね」
ビジネスシーンでの注意点

使わない方が無難な理由
ビジネスシーンや公式な場では、「確信犯」という言葉は使わない方が賢明です。理由は3つあります。
1. 誤解を招く可能性が高い
相手が正しい意味を知っている場合、誤用すると「この人、日本語を知らないな」と思われてしまいます。逆に、正しく使っても相手が誤用の意味で理解してしまう可能性もあるんです。
2. プロフェッショナルな印象を損なう
面接、プレゼンテーション、取引先との商談など、重要な場面で言葉の誤用は致命的でしょう。特に言葉遣いに厳しい上司や取引先の前では避けたいところですね。
3. 言い換えた方が正確に伝わる
「確信犯」という曖昧な言葉よりも、「故意に」「意図的に」「計画的に」と具体的に表現した方が、相手に正確に伝わります。
代替表現の選び方
ビジネスシーンでは、状況に応じて次のように使い分けましょう。
| シチュエーション | 推奨表現 | 例文 |
|---|---|---|
| 意図的な行為を指摘 | 「故意に」「意図的に」 | 「これは故意に行われた可能性があります」 |
| 計画性を強調 | 「計画的に」「戦略的に」 | 「計画的な対応が必要です」 |
| わざとらしさを表現 | 「あえて」「敢えて」 | 「あえてそのような選択をされたのですね」 |
フォーマルな場面では、カジュアルな「わざと」よりも「故意に」「意図的に」といった表現の方が適切ですよ。
まとめ:正しい日本語を使うために
ここまで「確信犯」の正しい意味、誤用、そして言い換え表現について解説してきました。
押さえておきたいポイント
- 本来の意味は「信念に基づいて正しいと確信して行う犯罪」
- 7割の人が「悪いと知っていてやる」という誤用をしている
- 誤用が広まった背景には言葉の印象とメディアの影響がある
- ビジネスシーンでは使わない方が無難
- 言い換え表現を使った方が正確に伝わる
言葉は時代とともに変化するものです。いずれ誤用が正式に認められる日が来るかもしれません。
しかし、現時点では「確信犯」の誤用は「間違い」とされているんです。特にビジネスシーンや公式な場では、正しい日本語を使うことが信頼につながりますよね。
迷ったときは、「故意に」「意図的に」「わざと」といった言い換え表現を使うのがおすすめですよ。正確に伝わるだけでなく、誤解を避けることもできます。
正しい言葉を使うことは、相手への敬意の表れでもあります。この記事が、あなたの言葉選びの参考になれば嬉しいです。
